屋根の開口から、奥の庭へ
屋根の開口、その下の雨水受け、奥へ続く庭。この三つの場所をたどって、紀元1世紀のポンペイに見られる比較的大きな都市住宅を読みます。ローマ人の住居にはさまざまな形があり、この庭のある家が全住民の標準だったわけではありません。掲載する再現画像も、特定の家をそのまま復元したものではありません。資料1
屋根に穴がある、アトリウム
- 1屋根の開口上から雨と光が入る場所を見る。開口寸法や屋根の細部は推定です。
- 2床の雨水受け上の開口と下の水受けを見比べる。水深・集水量・地下の貯水槽は画像から求めません。
- 3奥に続く開口室内から奥へ視線を移す。部屋の並びや来訪者の実際の経路を確定する平面図ではありません。
公園の解説では雨水受けと下の貯水槽の接続が説明されています。この図には地下構造を描いておらず、断面や配管の復元には使いません。雨水受けの解説 →
掲載済みの再現図にHTMLの番号を追加。番号のない図版と根拠・推定へ ↑
アトリウムは住宅の内部にある空間です。屋根の開口から入る雨水は、床の低い水受け「インプルウィウム」に集められました。ポンペイ考古学公園の解説では、その下の貯水槽とのつながりも説明されています。資料2
画像では、明るい屋根の開口と浅い四角い水受けを探してください。ここで理解したいのは両者の位置関係です。水の深さ、壁の赤の濃さ、家具の置き方まで史実として読むことはできません。
庭を囲む、ペリスタイル

アトリウムと列柱の庭の違いを比較する
この画像の根拠と推定を見る
資料で確認した構成
- 庭を列柱と通路が囲む構成
制作時に補った部分
- 植栽の種類と配置、鉢や家具
- 柱と壁の細部、塗装、屋根の構造
- 規模と部屋の配置
目的: アトリウムと列柱の庭の違いを比較する
- 1屋外の庭中央の植物と空の広がりを見る。樹種・植え方・庭の規模は推定です。
- 2庭の縁の列柱庭と周縁を分ける柱を見る。柱数・細部・色は特定の遺構の復元ではありません。
- 3屋根付きの通路中央の庭と、その周りの通路を読み分ける。部屋への接続や使う人の動きは推定です。
列柱の庭とアトリウムの雨水受けは別の空間です。美しい庭のある家を、ローマの全住民の住まいの標準とは扱いません。住宅の種類と庭の解説 →
掲載済みの再現図にHTMLの番号を追加。番号のない図版と根拠・推定へ ↑
ペリスタイルは、列柱に囲まれた屋外の中庭です。西方のローマ住宅では庭として整えられる例がありました。アトリウムの水受けと、植物のある中庭を同じものだと思わないことが、間取りを読む第一歩です。資料1
画像の植物は、庭という空間を説明するために補っています。特定の住宅で同じ木や草花が植えられていた、という証拠を示すものではありません。
家の中にも、社会との接点があった
屋根から床へ。
庭から周りの通路へ。
一方は上下の関係、もう一方は中央と周縁の関係を読む。
拡大して見る ↗屋根と水受けを一組で見る。壁の色・寸法・奥の部屋の配置は推定です。
現地写真・実測図ではありません。元の図版と根拠・推定へ ↑
拡大して見る ↗中央の庭と周縁の列柱・通路を見る。植栽・柱の細部・規模は推定です。
現地写真・実測図ではありません。元の図版と根拠・推定へ ↑
二枚は一軒の住宅を前後に分けて精密に復元した一組ではありません。奥の開口と庭をつなげて、来訪者の実際の経路を決めません。家の社会的な役割は資料で確かめます。住居と訪問者対応の解説 →
富裕層の家は、家族だけがくつろぐ場所ではありませんでした。アトリウムや応接空間は訪問者への対応にも使われ、住宅の装飾は、持ち主の地位を示す役割を持ちました。資料1
大きな家を見る時は、その家で働いていた人々も視野に入れる必要があります。今回の画像は構造の説明を優先して人物を描いていません。人物がいないことは、実際の住宅にも人手や労働がなかったという意味ではありません。
同じ間取りでも、使い方は変わる
四角い水槽があっても、
用途まで同じとは限らない。
雨を集める場所から、洗濯の水槽へ
住宅のインプルウィウムを高くして、衣服を洗う水槽に変更したという公園の解説。
開口を閉じ、衣服を乾かすテラスへ
雨水を導く屋根の使い方も、作業の用途に合わせて変わった例です。
掲載画像はこの工房の改修前後を復元していません。すべての住宅が同じ転用を受けたとも読みません。形を見ることと、使用時期・用途を確かめることを分ける。Fullonicaの解説 →
ポンペイのステファヌスの洗濯工房では、住宅が作業場に転用されました。雨水受けは洗濯の水槽となり、屋根側も衣服を乾かす用途に合わせて変更されています。資料2
「四角い水槽があるから住宅の雨水受け」と決めつけることはできません。建物は使い続けられる間に変わります。遺構を見る際も、どの時期の、何に使われた空間なのかを確認する必要があります。
この再現で分かること、分からないこと
分かるのは、開口と水受け、庭と回廊という空間の関係です。一方、各部の寸法、正確な色、植栽、家具の配置は、この画像から確定できません。代表的な要素を組み合わせた説明用の再現であり、発掘現場の記録写真や特定の家の復元図とは区別してください。
実際の遺構の位置や装飾を知りたい場合は、末尾の資料に進んでください。再現画像は、資料を読む前に構造の見当をつける入口として使えます。
屋根の穴と、列柱の庭
| 観点 | アトリウム ↑ | ペリスタイル ↑ |
|---|---|---|
| 中心を見る | 屋根開口の下にある雨水受け | 庭を囲む列柱と通路 |
| 図版の役割 | 屋根と床の位置関係を読む | 庭と周縁の空間を読む |
二枚は空間の違いを比べる説明図版です。一軒の住宅の前後を実測してつないだ図ではありません。
参照 1根拠を、たどる。
各資料の対象と確認箇所を確かめながら、本文と図版の根拠をたどれます。
- Roman Housing ↗
Ian Lockey / The Metropolitan Museum of Art
2009年2月。住宅の種類、atrium・tablinum・peristyle、家の社会的機能の説明
確認日: 2026-10-05 - Along the streets of Pompeii ↗
Parco Archeologico di Pompei
The House of Venus in the Shell / Fullonica。雨水受けと貯水槽、住宅から洗濯工房への転用
確認日: 2026-10-05
AIによる資料照合 / 2026-10-05。専門家による査読済みの記事ではありません。
重要な修正履歴を見る
- 2026-10-01: 比較する観点を添えた関連記事を追加しました。
- 2026-10-01: 図版ごとの観察ポイントと、二枚の役割・対象範囲を比べる表を追加しました。
- 2026-10-04: 導入と説明を題材に即した表現へ整理。資料の根拠・未確認範囲を保持し、比較導線の説明を点検。
- 2026-10-05: 屋根開口・雨水受けと庭・列柱・通路の観察番号、二空間の比較と洗濯工房への用途変更の欄を追加。主要3主張と再現の推定範囲を再照合。

